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 「Borrowed Landscape project」は、劇場から飛び出し、社会に存在し、現実的に機能しているさまざまな空間のなかで作品を創作し、上演するという試みです。
 プロジェクト名にある「Borrowed Landscape」とは伝統的な日本庭園の造園技法で使われている「借景」という言葉を英訳したものです。

 私たちはこの「借景」という考え方に大いに触発されました。


 庭園外の自然をノンフィクション=日常のありのままの空間/在り方と捉えるならば、庭園内のデザインをフィクション=パフォーマーによって演じられるフィクション=人工的に作られたもう一つの現実の空間/在り方として捉えることができるのではないか。

 一方、パフォーマーにとって演じるということ自体は、自分の身体を使ったリアルな現実の表現でもある。このように種類の異なったいくつもの位相を、対立させるのではなく、「借景」という考え方の中にある、ありのままの現実的な場所と、人為的なものとの融合を目指すようなパフォーマンスとして成立させることは可能なのではないか。そうした問いかけからこのプロジェクトは本格的に始動しました。


 私達パフォーマーにとって慣れ親しんでいる「劇場」と言う空間を敢えて離れ、社会に存在するさまざまな空間/シチュエーションで創作活動/上演することにより、あらゆる職種、分野の異なった人たちと予期せぬ出会い(エンカウンター)。それによってえられる、偶発的な出来事をもパフォーマンスに組み入れ応用できれば、自分たちの想像枠を超えた新しい形のパフォーマンスを創り出す事が出来るはずです。

 パフォーミングアートというのは世の中とのコミュニケーション手段であり、それはさまざまな方法で、自分自身と他者、そして自分たちの身近な環境を含んでいる社会というものを新しい視点で捉えてみる可能性を提示すべきだと考えています。


 このプロジェクトでは、単にパフォーマンスを行なうパフォーマー自身の身体表現だけを突き詰めていくのではなく、それぞれの場所/空間だけが持っているコードや空気感、またそこに居合わせた人々や物の存在、そして景色や質感、これら全ての要素を受け入れて成り立つパフォーマンスを目指しています。そして波乱万丈の物語ではなく、ありきたりの暮らしの中から立ちあがる、些細な、しかし、かけがえのない瞬間を捉える事。現実を僅かにゆがめ、ずらし、拡張する事によって、日常の中に埋没してしまいがちな時間や空間に別な角度から光をあててみる事。その事によって、日常をみつめる私たち自身のまなざしや物の観方をほんの少しでも広げることができればと願っています。



ハイネ・アヴダル&篠崎由紀子


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横浜借景 2011年度
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Borrowed Landscape Japan
E-mail: info@borrowed-landscape.jp

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